「今日は少し涼しいです。何か一つ、上着があると便利ですよ!」


テレビの中のお天気お姉さんがファーの上着を着ている。


涼しい風が吹いてくるようになった九月。

私は無事にアシスタントを卒業して、そろそろ企画の発表会がある。


「夢ー?まだいかないのー?」

「ああ、もう行く!」


望くんのジージャンを着て、自分のご褒美に買った高いショートブーツを履く。


「あら、そんなジーンズ珍しいわね」


ふくらはぎから切り返しがあって、色の濃淡が分かれてるジーンズ。


「うん。これ新しいやつ」


望くんのお店で買ったものだ。


「よく似合ってるわ」

「ふふ、ありがと。行ってきます」


少し伸びた髪を冷たい風が吹き上げる。