ムカついた。


望くんと先輩との関係に納得いかないのにも、必死に望くんが弁解してるのにも。


望くんは当たり前だけど驚いてた。


後悔はしなかった。

もういっそのこと、振られに振られて、先輩に馬鹿にされたって良かった。


呼び捨てにしたのも、最後の悪あがきだ。


少しでも、先輩と違うことがしたかった。


私はゆっくり体を離して、「ごめん」と一言告げて店を出た。


望くんは私の予想通り、追いかけてこなかった。

アスファルトにシミが増えていく。


これでポスター撮影が終わったらもう顔を見なくて済む。

これで、やっと、望くんのことが忘れられる。


涙を拭って、歩を進める。

心の何処かで、まだ望くんを欲していることに、私は見て見ぬ振りをした。