D.Mが流れる。

その音に反応した望くんと目が合った。


「夢……」

「……衣装、届けに来ただけだからね」


私はそう言って、ティーシャツが畳まれてある棚に置いた。


「ありがとう。ねえ夢」


優しく呼ばれる。

やっぱり体は正直だ。


「夢……?泣いてるの……?」

「……泣いてない。もう行くね。また撮影で」

「夢!」


掴まれる腕が熱い。

足を止め、ずっと下を向いていた。


「ねえ……なんで急に避けるようになったの?」


嫌いになったから。


言えない自分に、腹が立った。


「……勘違いされたら困るし」

「勘違い?誰に」

「先輩の、邪魔しちゃいけないし」

「え?」

「望くんに言ったってわかんないよ」

「……ごめん、なんの話してるの?舞さんと僕の関係が知りたいってこと?」

「知りたくないよ、そんなの」

「僕と舞さんはなんの関係もないよ?ただの取引先?って言えばいいのかな?そんな関係」

「……望」




掴まれてた腕を払って、くるっと振り返ってキスをした。