Hope Your Dream

部屋の壁に掛けてたジージャンを見るだけで涙が出てくる。

枕に顔を埋めて、声を押し殺して泣いた。

四六時中考えてる、大好きな服のことも、このときだけは忘れてた。

電話番号もアドレスも、何も交換してなくて良かった。

その日は着替えずに寝てた。

もちろん目覚ましもセットしていなくて、起きた時間はいつもより一時間遅かった。

普通に準備したら遅刻するってわかってたけど、普通に準備して、普通にオフィスに行った。

いつもならなるべく元気よく先輩に挨拶しようと心がけるけど。

私の意地っ張りな嫉妬心が、それを拒んだ。



「……遅れてすみません」

「……ああ、別にいいわよ」


黙って席に座る。

ファックスが届いていた。

私はあえて、それを見なかった。

昼休憩。

先輩が残ってるファックスに気づいて、わざわざ私のところに持ってきた。


「ん」

「……いりません」

「は?何言ってんの?これ、あんたの仕事。先方があんたのほうが気に入ったんだって」

「……」

「……あのさ、何があったか知らないけど、仕事は仕事、私情は挟まないで。それできないなら、これ、破くよ」

「……すみません」


先輩は大きなため息を残して、ランチをしに行った。

ファックスは昨日送った企画書のことについて。


「……福野さんのコーディネートで宜しくお願いします」


手書きで書いてあるそれ。

望くんの字かな、店長さんのかな。

望くん、ごめんね。

諦めることなんてできないよ。


ファックスに書いてる内容によると、望くんのお店は、店長さんの考えで香水を売ることにしたらしい。

なんで、モデルさんじゃなくて望くんをポスターに起用したんだろうか。

私は、頭を仕事モードに切り替える。