Hope Your Dream

私のお腹がぐーっと鳴ると同時に電話も鳴った。


「うわあ!」


なんて、典型的なリアクションをとってしまって、夜のオフィスで一人、恥ずかしくなる。


「……はい」

「あ、夜分にすみません。今回、スタイリストさんのお願いをした、塚原と申しますが、落池さんは居りますでしょうか」

「落池は席を外しておりまして……申し訳ありません」

「ああ、いえいえ。今、当人が向かっておりますので、話し合いをしていただきたいのですが……」

「話し合い、ですか?」


落池、というのは先輩の苗字だ。

この電話は、先方から、どちらのコーディネートが良かったか、のお知らせの電話らしい。

でも、当人って誰を指しているのだろう。


「はい」

「……夢」


声にびっくりして、受話器を落とす。

ああ、昨日もこんな場面あったな、なんて、早く受話器を拾わなくてはいけないのに、思考も動作も、一斉に止まった。


「夢?」

「……え?」

「あは、受話器。拾わないの?」

「あ……あ、すみません!」

「いえ。もう着いたみたいですね。では私はこれで」

「え?あ、はい……?」


失礼します、と言うのを忘れた。

もしこれで横に先輩がいたら、叩かれてた。


「……今の電話ね、僕の店長」

「……D.Mの?」

「そう」


優しい人なんだよ、って笑う。

痛い。

どこが、って、望くんを見ている目も、望くんの声を聞いてる耳も、望くんに抱く恋心も、なにもかも。

抱きつきたい、と叫ぶ体を、必死に留まらせる。