Hope Your Dream

黒のライダースや黒のスキニーパンツ。

細身の男性が着こなしやすい服が多い気がする。

どのラックにも似た系統の服が掛けられていた。ほとんどが白と黒。たまに赤色を見た。

赤色のライダースは珍しくて、私もちょっと気になった。

残り三分の一になったとき、早めに先輩が来てしまった。なんで今日に限って、という気持ちは心の中で言わせておいて、挨拶をした。


「おはようございます」

「うん。あれ、ラックはこれだけ?」


私の隣の椅子にバッグを置く。

先輩は数十個のラックを見て、少ないねと続けた。


「あ、いえ、まだあります」

「そうなの?早く持って来て」

「はい」


控え室と衣装室の往復を数回繰り返す。


「これで全部です」


先輩は控え室で携帯を弄っていた。


「あ、そう。ありがとう」


よいしょ、と先輩が立ち上がる。

これから集中モードに入るはずだ。そうなったら声をかけないようにしたほうがいい。私はリュックから携帯とお財布だけを取り出して、一応先輩にお辞儀をする。

通り過ぎるとき、ドアについてる窓から衣装室を覗いてみると、何もなく、がらんとしていた。

なんとなく寂しくなった。