ここが家から遠いことはよくわかった。

私は転がってた石ころを蹴りながら、半分ふてくされて歩き続ける。

これは昔からの癖なのだけど、曲がり角を見ると曲がってしまう私は、明らか人一人分しかない幅の脇道を通っていった。

もうここが行き止まりだったら意を決して野宿しようと腹をくくり、進んだ。

窮屈な道を通った先には、明るい場所があった。


「D.M……?」


お洒落なカフェのような外観のそこは、ガラス張りの店内を見る限り、服屋さんらしかった。

こんな深夜まで空いてるのか、と洋服好き魂に火がついて、そのお店に近寄る。


「……洋服、お好きなんですか?」


背後から男の人の声がして、私は思わず飛び跳ねた。


「あ、ごめんなさい、驚かせちゃいました?」