テストが終わり、解答用紙を前の席に送る。


あたしはちょっとだけ勇気を出して、彼に話しかけようと思った。

なんでかわからないけど、仲良くなってみたかった。


「テスト、できた?」

「……いや、全然」

「寝てばっかりいるからだよ」


彼は横を向いたまま、少しだけはにかんだ。

そのまま解答用紙を前に送ってから、もう一度顔を横に向けて、


「全部埋まってたな」


と言った。


「まあね。でも、合ってるかは分かんないよ」


あたしがそう言ったら、彼は前を向きながら「そっか」と一言だけ呟いて、また机の上に突っ伏した。


少しだけど、笑ってくれていたと思う。
あたしも口元を手で隠しながら、こっそりニヤついた。