横顔のナイト【短編】

梨木くんが山岸さんを振ったって聞いた。

だけどそれは、嫌いになったから振ったわけじゃないんだろうな。


「……あいつの抱える不安から、俺は守ることができなかったんだ」


今のは、独り言かな。
あたしにじゃなく、山岸さんに言っているみたいに見えた。


好きなのに別れなきゃいけない理由があって、それはきっと、梨木くんにとってはつらい別れになったはずなんだよね。


「……そんな顔すんなよ」


梨木くんが笑いながら、大きな手で一度だけあたしの頭をぽんと叩いた。


太陽の匂いが鼻をかすめて、心臓はさらにぐっと締め付けられる。