体力測定から5日目の朝



「ん〜、蛍迎えに行くか・・・ん?」


「・・・・・・なんだよあのくそがき」



私は健に【今日も先に行ってるね。くそじじいはゆっくり来てよ】

という置き手紙を健の家の玄関に置いて先に学校に行っている。これで3日目だ




学校


「ねえ蛍、つぎ移動だよ。一緒に・・・」

『わ私、今日はみっちゃん達と一緒に行くね』


「蛍、昼ごはん・・・」

『ごめん、今日は違う子と食べるんだ!』


授業中

「・・・・・・」

『・・・・・・』

まずい健すごく怒ってる。隣ですごい殺気放ってるよやばくない?人殺しそうだよ?

なにより視線を感じるぞ、健から

あああはやく終わって授業・・・!



キーンコーンカーンコーン


「じゃ、今日の授業はここまで。もうちょっとで中間テストなんだから各自で勉強しておくように」

や、やっと終わった・・・



『私、トイレ行こっかなぁ〜・・・わっ』


気まずくて適当な理由をつけて立ち上がったとき、腕を取られる。


「待って蛍、最近おかしいよ。この前のこと気にしてんの?」


ドキっとしたが、今はごまかさないと。

『え、何のことか全然わかんないや〜ははは、はは』


「ほらまたそんな態度とって・・・・・・もしかして、襲ってほしいの?」



『はっ!?そんなわけ、ないっ・・・じゃん!』


必死に腕を振りほどき一目散さんにかけていく。



だから・・・健が嬉しそうに笑っていたのは、知るわけもない。




『は、はっ・・・はぁ、わっ!?』

「うおっ」



曲がり角で誰かにぶつかってしまった。
その拍子に後ろに転びそうになったけど、ぶつかった人に腕を引っ張られ引き戻される。

「あ、春川さん。ごめんね。大丈夫?どこも怪我してない?」

『水野先輩・・・あ、いえ、こちらこそすみません・・・』



まさか水野先輩にぶつかるなんて・・・ちょっとラッキー、かも


「どうしたの、こんなところで?随分急いでたみたいだけど」

『ああいえ、大した用事じゃ・・・・・・あの、手・・・』

私は引き戻されたときに掴まれた腕をまだ離さない先輩に指摘する


「ん?ああごめん、つい」


そう言ってにこにこと笑う先輩はやっぱりかっこいい。このときにはもう、健のことは忘れてしまっていた。



やった、今日少し話せた。そんな思いばかりで、私の好きな人は水野先輩なんだと再認識させられ、健にはまたいつも通り接するようになった。