「すみません、前に松河技研から戻ってきた時に徳松さんが課長とそう話されているのを聞いてたので、データ管理を任された時にそこの数字だけ全部変えておきました。一応その旨をお伝えしたつもりだったんですけど…すみません、ちゃんと伝わってなかったみたいです」

「…へ?」

死にそうに追い込まれていた顔が、キョトンと鳩豆になる。

「あの、ですから大丈夫です。データだけじゃなくて、今徳松さんが持ってる資料もちゃんと正しい数字のものになってます」

「………ま、マジで…?」

「はい。課長にも確認してもらったので間違いないです」

力強くそう断言すると、血の気が失われていた顔にじわじわと赤みが戻ってくる。

人の体って面白いな~なんて、その様子を見ながら全く緊張感のないことを考えていたら、突然目の前に回ってきた徳松さんに両手を掴まれた。


「水谷いぃいっ!!!!」

「ひゃっ?!!!」