そんな心の声をしかと受け取ったのか、課長がニヤリと得意気な顔を見せる。
「お前は知らないだろうけど、あの場所、南側の非常階段から微妙に見えるんだよ」
「ええぇっ??!!」
まさか!!!
驚愕の事実に零れ落ちそうなほど目を丸くした私に、課長はまるで悪戯が成功した子どものように笑いを堪えている。
「俺がいる場所もすごい穴場だからな。多分お前に気付いてるのは俺だけだから心配するな」
「いや、そういう問題じゃ…」
課長に見られてたと思うだけで充分に羞恥プレイだ。
誰もいないとばかり思ってたから、本を読みながらニヤニヤしたり半べそかいたり。私は相当まぬけヅラを晒してたに違いない。
それを見られてただなんて…!!
「大丈夫。ころころ表情が変わってすげぇ可愛い奴だなと思ってただけだから」
「うぅ゛っ…! やっぱり悪趣味ですっ…!」
両手で顔を覆って悶絶する私の頭上から、ハハハッとすこぶる楽しげな声が降ってくる。
うぅ、鬼だ。
この人絶対ドSだ…!

