「ほんと、お前はいい嫁さんになるよ」
その言葉にドキッとしながらも、決してそれを顔に出すことはしない。
「…せっかくお褒めの言葉をいただいたのに恐縮ですが、しぐれ煮がレアおにぎりであることには変わりないですからね?」
高鳴る鼓動を誤魔化すように努めて冷静に切り返すと、してやられたとばかりにはははっ! と豪快に笑った。
その屈託のない笑顔が、今日も私に力をくれる。
「なるほど。じゃあ今日の俺は運がいいんだな」
「そういうことです」
小さく微笑みながら、ようやく目的の書類を見つけた。
「そうか、じゃあ今言った方がいいのかもしれないな」
「…何がですか…?」
軽く聞き流しながらファイルを手に自分のデスクへと急ぐ。
「 俺と結婚してくれないか 」