「……」
文庫本の向こうにチラッと見えた時計を慌てて視線から外す。
必死に目の前の活字に集中しようとするけれど、その度に浮かんでは消える顔に、とうとう持っていた本をベッドの上に放り投げた。
「あーーーもうっ!! 一体どれだけ邪魔してくれるのよ!!」
う゛ーーーっと怪獣のような唸り声を上げながらいつかと全く同じようにゴロンゴロンと布団の上を転がり回る。
「い゛っ…!!」
そのうち足の小指がベッドの脇にある棚にガツンと激突して、あまりの痛みに今度はアルマジロのように蹲るはめになった。
「うぅ゛っ…一体私が何したっていうの…」
これでまた歩けなくなったらどうしてくれるんだ。
そんな恨み言の一つや二つ言いたくなったってバチは当たらないでしょう?!
「絶対行かないんだから…!」

