「26年4月、26年4月………あ、あった!」
ようやく探し出した目的の資料によっしゃあと小さくガッツポーズする。
営業部に来て気付いたことだけど、以前仕事がかなりずさんだった事務の人がいたらしく、資料の一部がきちんと整理されていないものがある。それを見つけ出すのは非常に大変な作業で、そのおかげで余計な仕事が増えてしまっているのが現実。
周囲にしてみればとんだとばっちりだ。
本来あるべき場所に戻すべくファイルから資料を取り出したところでガチャッと背後で扉が開く音がした。
誰か資料を取りに来たのだろうかと特に気にもせず作業を続けていると…
「……え?」
遠くに聞こえていたはずの靴音がすぐ目の前で止まった。
「か、課長…」
ピッカピカの革靴を履いている人物、それは日下部課長だ。
「どうされたんですか? 課長も探し物ですか? もしあれでしたらお手伝いしますけど…」
「…あぁ。すぐに見つかるものだから大丈夫だ」
その言葉通り課長は目の前の棚からあっさりと一つの分厚いファイルを取り出して、パラパラと中身をチェックし始める。

