「くくっ、そんなお前にはこれやるよ」

「…え? わわっ?!」

尚も笑いながらも立ち上がった徳松さんが、デスク越しにぽんっと何かを放り投げた。慌ててキャッチしたのは手のひらサイズの小さな箱。

「これって…」

黄色い星形の可愛らしいそれは、確か最近テレビや雑誌でよく見かける今すごい人気のある生チョコレート店のものではなかったか。
何故こんなものがここに?

「最近営業に行ってる先の人がそれの大ファンでさ。買いに行ったらふっと水谷の顔が浮かんできて。なんか買っておかないと夢に出て恨まれそうだなと思ったから。やる」

「えっ?」

私の疑問を正しく理解した徳松さんが返した答えは何とも意味不明なもの。
というか完全に言いがかりじゃないですか!

「あ、別にいらねーなら他の奴にやるけど?」

「い、いりますっ!」

奪い返されそうに伸びてきた手に慌てて小箱を胸に抱きかかえる。
その一瞬の動きに、またしてもブハッと笑われた。

うー、食べ物には敏感に反応してしまう自分が恨めしい…!