「おはよう、水谷。今日も早いな」


そうして爽やかな笑顔であなたが出迎えてくれるのもまた、日常の風景。


「それを言うなら課長もじゃないですか。まだ7時なのに一体どれだけ仕事されてるんですか?」

誰一人いない室内で、既にデスクの上は大量の書類で埋め尽くされている。

「ははっ。朝が一番効率よくできるからな~」

「それには大いに同意します」

くすっと笑い合うと、目の前に大きな手が差し出された。

「あ~もう、倒れそうなくらい腹が減ったな。どこかに何かを恵んでくれる奴はいないかな~」

反対の手でお腹を擦りながら大袈裟に空腹アピールをする我が上司に呆れつつも、それを待っているのはむしろ私の方だ。


「…はい、どうぞ」


そうしてその手のひらにおにぎりをぽんと載せるのもまた、私にとっての日課となっていた。