「…何かがお前にブレーキをかけてる。そうだろう?」

「 !! 」

「それが何かなんて俺にはわからない。だが、それもひっくるめてお前を振り向かせてみせる。絶対に」

あまりにも直球過ぎる求愛に目眩を起こしそうだった。

あの課長が、私を相手にこんなことを言う日がくるなんて、夢にも思わなかった。
普通の女の人なら手放しに喜んで受け入れるに違いない。
それほどに、目の前にいるこの男性は魅力に溢れた素晴らしい人なのだ。

本音で言えば嬉しくないはずがない。

…けれど、それでも_____

「いきなりプロポーズをして驚かせたこと、それから卑怯な手でお前を呼び出したことは謝る。…悪かった。でもこれだけは忘れないでほしい。俺は決してふざけた気持ちでなんかいないし、お前を諦める気など毛頭ない。絶対にお前を手に入れてみせる」

黒い双眸が言葉と共に私を貫く。
一点の濁りもないそれは、私に目を逸らすことを許さない。

そのまま互いに見つめ合ったまま、私は長い時間言葉を発することも、視線を逸らすこともできなかった。