瀬を早み 岩にせかる滝川の われても末に 逢はむとぞ思う。
いつしか授業でやった和歌をノートに書いていた。
「陸、何だその文?」
春太が俺のノートを覗き込んでくる。
「流れの速い川で岩に引き裂かれるように、今は離れてしまっても、いつか一緒になろうっていう意味だったかな。」
春太がにやにやして言った。
「陸君にもそんな相手がいるんだな。」
君付けで呼んでくるあたり、確実にバカにしている。
「じゃあ、俺バイトだから。」
「おう、またな。」