「それともゆずは、先生のことが好き?」

「え……?」


異性から告白なんてなかったから、緊張してあまり頭に入ってこない。


「もう一回聞くよ。ゆずは、田中先生の事、すきなの?今度は、恋愛の方で。」


汗が、頬を伝って流れていく。


「……分からない、です。」


すると先輩は、苦しそうに笑って、

「返事は、今は聞きたくないな。
……考えといて、ね。」


急な事に心が追いついて行かなくて、はい、としか言えない。

放心状態で家に帰ったことだけしか覚えていないまま、

次の日になってしまった。

まだ、ぐるぐると頭の中を回るあの場面。


「おはようございます……」

「お?元気ないな、ゆず」


先生が眉毛を下げて笑う。


この笑顔が好きだと思うのも、

先生にドキドキしたのも、

夏季補講の下心も、


先生の薬指に、指輪がついてることも、


先生が好きなのも、気のせいにして。


貫き通せて来たはずなのに、今更涙が込み上げてくる。



ああ、


青い空が、全てを無かったことにして、さらっていってくれれば良いのに。