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気になることはまだまだある。聞くべきなのか聞かずにいてやるべきなのか迷いながら…
結果からいうと、それ以上は何も聞けなかった。
いや、聞かずにいようと何故かそう思った。
しん、と沈黙が続いた時にタイミングよくもう一度音楽が鳴った。今度こそ完全にお風呂が湧いた合図だ。
「お風呂湧いたから先どうぞ。私お腹いっぱいで後に入りたいから」
どうせ遠慮するだろうから、後で入りたい理由を付け加える。案の定、いそいそと立ち上がった。
「出て左のドアね。タオル、棚にあるの好きに使って。シャンプーとかも」
頷いてゆっくりと部屋から出て行こうとする。扉に手をかけて、振り返った。瞬間的に目が合う。
「ありがとう」
「あー…うん」
拾ってくれて、か。お風呂のことか。
どちらでもいいけど、頬が緩む。
パタンと閉まった扉を見ながら、自分の中に沸き立つ不思議な感覚に驚いていた。ずっと待っていたような。どこか空いていた部分が埋まっていくような、そんな感覚。
どうしてかは、今もわからない。
その日から私と、捨て猫
もとい 麻由子との生活が始まったのだった。
気になることはまだまだある。聞くべきなのか聞かずにいてやるべきなのか迷いながら…
結果からいうと、それ以上は何も聞けなかった。
いや、聞かずにいようと何故かそう思った。
しん、と沈黙が続いた時にタイミングよくもう一度音楽が鳴った。今度こそ完全にお風呂が湧いた合図だ。
「お風呂湧いたから先どうぞ。私お腹いっぱいで後に入りたいから」
どうせ遠慮するだろうから、後で入りたい理由を付け加える。案の定、いそいそと立ち上がった。
「出て左のドアね。タオル、棚にあるの好きに使って。シャンプーとかも」
頷いてゆっくりと部屋から出て行こうとする。扉に手をかけて、振り返った。瞬間的に目が合う。
「ありがとう」
「あー…うん」
拾ってくれて、か。お風呂のことか。
どちらでもいいけど、頬が緩む。
パタンと閉まった扉を見ながら、自分の中に沸き立つ不思議な感覚に驚いていた。ずっと待っていたような。どこか空いていた部分が埋まっていくような、そんな感覚。
どうしてかは、今もわからない。
その日から私と、捨て猫
もとい 麻由子との生活が始まったのだった。
