「朱里ちゃ〜ん。
せっかく昇降口で水野くんと少し話せたのに、告白のチャンスがなかったよぉ〜。」
わたしはドカドカと自分のクラスに入り、クラスメイトに朝のご挨拶をしながら本を読んでいた朱里ちゃんに泣きついた。
「うるっさいな〜。今いいとこだったのに。」
「うるさいなはひどいよっ!!」
「あーはいはいごめんごめん。
で?水野くんと話せたけど告白のチャンスがなかったって?」
……謝り方が棒読みだったよ。朱里ちゃん。
「そうなんだよ!話せてっていうか話しかけられたのに、顔も名前も覚えられてなかったしさ〜。」
「それでたまたま靴箱にいた速水と一緒にここまで来たってか。」
「え!?なんで颯大と来たこと知ってるの!?」
「あんたたちの声が大きいのよ。」
……そんなに大声で話してたつもりはなかったんだけど。


