あのときに初めて颯太の泣き顔見たなー。
「なんだよそれ!今すぐ忘れろ!」
急に颯太が追いかけてきたから必死に逃げるわたし。
「やだねー!颯太がわたしの泣き顔忘れてくれたらわたしも忘れてあげるよ!」
「あーそれだけは無理。あのときの雫の顔といったら半端じゃなかった。忘れたくても忘れられねぇんだよこのアホ雫!」
「アホじゃないって昔から言ってんでしょこのバカ颯太!」
「なんとでも言え。俺はバカって言われたぐらいでカッとなるお子様じゃねーんだ。」
「どの口が言ってんだコラァ。」
小さい頃も、こんなふうに遊んだな。
それから、わたしと颯太の鬼ごっこは長く続いた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」
「はっ。こんなんで息切れかよ。これだから運動不足は。」
「はぁっ、はあっ、うるっさいなっ、はぁっ。………スゥーーーーーーハァーーーーーーー。」
「長ぇっつの。」
あー。ぜっったいに無駄な体力使ったわ。
息しすぎて胸のところがスースーする。
このかんじはすっごい嫌いだ。