公園の中を歩き出した颯太についていく。



「なにも変わらないな。

たくさん落書きされた滑り台も、相変わらず砂が少なすぎる砂場も、さびた鉄棒も。

あ、ジャングルジムの色が変わってる。」


「ははっ。ほんとだ。滑り台もサビが目立ってるんじゃない?」


「たしかに。」



滑り台に手をついて颯太が言う。



「この滑り台でさ、競走したよな。どっちが早く滑る方から登れるか。」


「ああ。やったね。それで結局颯太が勝って。」


「喜んでたところに近くにいた大人に危ないって叱られて。」


「ふてくされたわたし達は次は砂場で遊んで。」


「砂のかけあいっこして泥と砂まみれになって。」


「そのまま帰ったらお母さん達に怒られてさ。」


「公園出禁にされたよな、俺ら。」


「子供に公園出禁とかふざけてるでしょ。」


「あのときの雫の泣き顔は今でも覚えてるわ。」


「わたしもお風呂でこっそり泣いてた颯太の声覚えてる。ハッキリと。」