side雫
「そっから俺も一人暮らし。花木と同じようなアパートに住んでる。財産も父さんが残していってくれた。」
話を聞いている間、窓から差し込む陽の光が水野くんに逆光となって当たり、水野くんが影となって見えた。
その影は、孤独とはまた違う、当時の水野くんの気持ちが、色となって形を作っているようだった。
…慰めなくていいって言われた。だけど、今目の前にいる君が、すごく寂しそうに見えた。
だからわたしは彼の側に行き、人並みより小さいであろうその黒髪の頭の上に、そっと手を置いた。
「…何してんの?慰めなんか必要ないって言ったじゃん。」
「別にこれは慰めじゃないもん。わたしが今したいことだからいいんです。」
「…あっそ。」
しばらく沈黙が続いた。
何分間そうしていただろうか。


