ショートケーキ

こんな泣き顔を見せるわけにはいかない。


そう思い、ゆっくりと歩みを進めていた足を駆け足にしようとした瞬間、思いっきり腕を引っ張られた。


「えっ?!」


今度は、柔らかな香りに体が包まれた。知っている。この香りを私は知っている。


だって、大好きなあの人の香りだから。


「賢人くん……?」


私を抱き締める賢人くんの腕に力が入る。