小さな恋物語

「先生、どこ?」

「冗談言ってる場合じゃないって!ガキできたら洒落にならねぇよ……」

いつの間に、私の前から姿を消してしまったの?さっきまで一つになってたのに。それに、目の前でわめいている愚かな男は誰?私はお前なんかを家に上げた覚えはないし、セックスした覚えもない。お前の子供なんか、地球が割れても生まれてこないよ。ていうか、生まれさせない。もし生まれるようなら、私は死ぬよ。

「とりあえず、病院に行こう」

初対面のくせに、命令してくんな。

「黙れ」

「お前、何なんだよ!とにかく病院行くぞっ」

強引に腕を捕まれて、私は見知らぬ男と家を出た。こんな奴といるところを、彼に見られたらどうしよう。そんな不安だけが頭に渦巻いた。