「……大人っぽい、ですか⁇」

かなりの小声。
こんなこと、言うつもりじゃなかったのに 口から溢れでた。

「うん、俺はそう思うけど……あれ、もしかして言われたくなかったりした⁇」

「ううん、そんなことない。」

"だって、蓮君 歳上の女性が好きなんでしょ⁇" とは言えなかった。

「本当⁇何か、言いたいこと 隠してない⁇

碧生ちゃん、昔から 自分の意見よりも周りの意見を優先する癖あるでしょ⁇」

私は頷いた。

いつもそう、自分が自分の意見を言った為に周りに迷惑をかけてしまう、そう考えると何も言えなくなってしまう。

……私は弱い。

「澪緒とか吏夷ちゃんの自己主張は凄すぎるけど、……あれ程にまでなっちゃったら それは問題だけど、もっと自分の思っていること、言わないと。

伝わらないよ⁇自分の意見なんて。」

優しいのに厳しい、そんな一言。

「私は、いいの。
周りに合わせているのも 嫌じゃないし。」

「俺が嫌だ、碧生ちゃんが我慢してるところを見るの。」

真剣な眼差し。
目をそらすことが出来ない。

「だって、俺にとっては碧生ちゃん 大事な家族みたいなもんなんだもん。」

ふと柔らかな眼差しに変わる。

「もっと、碧生ちゃんの我儘 聴いてあげたい、って思ってる。」

"じゃあ、1つだけ……" 私は 蓮君から視線を逸らした。

"何⁇" 蓮君は私に優しく問う。