「見たのかよ……?」


「いや、えっと、あの……」


この状況で見てないなんて言えるはずがない。


人の秘密を覗いてしまったみたいで、とてつもない罪悪感に駆られる。


うつむくことしかできなかった。


「聞くまでも、ねーか……」


「…………」


なにも言い返せない。


なんだか胸が痛くなってきたよ……。


こんな写真を持っているってことは、きっと私たちの中に好きな人がいるってこと……だよね?


そうじゃなきゃ、他人の、ましてや女子の写真なんて持ち歩いたりしないはず。


「勝手に見てんじゃねーよ」


どこか怒りを含んだ低い声。


大きく息を吸い込んで、拳をギュッと握りしめた。


「ご、ごめんなさいっ……!見るつもりなんてなかったんだけど!落ちてたから、つい」


ドキンドキンと心臓が異常なほど速い。


どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう……っ!


ここはやっぱり素直に謝って許してもらうしかない。


勝手に見られて、明らかに怒ってる……よね。


背中に冷や汗が伝う。


「ほ、ほんとに……ごめんなさいっ」


張り詰めた空気の中、肩を縮めながら頭を下げた。


私の中の怜くんのイメージは、いっつも気だるげでなにを考えているのか全然わからなくて。


何事にも興味がなさそうで、どことなくいつも不機嫌そう。


「あ……えっ、と。ほんとにわざとじゃなくて」


「……じゃねーから」


「え……?」


聞こえなくて、恐る恐る顔を上げた。


するとそこには、戸惑うように瞳を揺らす怜くんの姿。