「中に入ろうぜ」
三沢くんのひとことに、私たち三人は切符を買って改札を抜けた。
そして、瞳ちゃんが乗る電車を待つこと数分。
持ち前の明るさとおしゃべりが大好きな三沢くんのおかげで、気まずい沈黙が流れるという事態を避けることはできている。
「雪村とは同中だったけど、出かけるのは初めてだよな」
「あ……そうだね」
私は三沢くんや怜くんのように、キラキラした世界の住人じゃなかったから。
それは今も変わらないから、こうして同じ空間にいることがまだ信じられない。
「中学ん時は、あんま共通点なかったもんな。俺と怜はさぁ、幼稚園の頃からのくされ縁で、こいつのはずかしー話とかいっぱい知ってるわけよ」
「変なこと言ってんじゃねーよ」
ヘラッと笑っておちゃらけモードの三沢くんと、怖いくらい冷静で淡々としている怜くん。
「怜はクールな感じを装ってるけど、実はかなりの小心者でさぁ。意外とシャイなところもあるんだぜ。それに、一途だしなー?」
「おまっ、余計なこと言うなっつーの」
「はは、焦ってやがる」
「うっせー!」
ふたりは対照的に見えて、とても仲がいいらしい。
三沢くんは怜くんのことをなんでもお見通しなんだね。
「安心しろよ、今日は俺が協力してやるからさ!そのために来たわけだし」
三沢くんはニヤッと笑いながら、怜くんの肩に腕を回した。
「べつに……いらねーよ」
否定の言葉を口にしながらも、怜くんの顔は真っ赤。
ん?
ちょっと待って……。
三沢くんが今日ここに来たのは、怜くんに協力するため……?
怜くんは……瞳ちゃんのことが好き、なんだよね。
怜くんと瞳ちゃんの仲を応援するってこと……になるのかな?



