私の声は、誰にも届かなくて。
振り返ってもらえない。
うまく息継ぎができなくて、ものすごく苦しい。
「お母さん、たまにはいいんじゃない?咲花だって、息抜きしなきゃやっていけないと思うよ」
背後から咲季ちゃんの声がした。
部屋で勉強をしていると思っていたのに、どうやら私たちの会話を聞いていたようだ。
「そんなこと言ったって、咲花はあなたより遥かに成績が良くないのよ?ここで油断したら取り返しがつかなくなるわ」
お母さんの言葉に胸がズキンと痛んだ。
そんなの、私だってわかってる。
でもね、私は咲季ちゃんとはちがうんだよ。
「いいじゃない、たまには。咲花が友達と遊びに行きたいなんて、これまでに一度もなかったでしょ?」
「それは、そうだけど」
咲季ちゃんの諭すような優しい声に、お母さんは考え込むようなそぶりを見せる。
そして観念したというように、ハァと大きくため息を吐いた。
「仕方ないわね、行ってもいいわよ。ただし、土曜日だけだからね。夕方の六時までには帰ってらっしゃい」
「よかったね、咲花」
「あ、うん……」
咲季ちゃんの言うことには耳を貸すお母さんが、折れてくれた。
なんだか、素直に喜べないのはどうしてかな。



