七月初旬、天気は快晴。
気温はぐんぐん上がって、まだ梅雨明けしていないこともあり教室の中はムシムシしている。
私、雪村 咲花は四月生まれの十六歳、高校一年生。
三ヶ月前に入学したばかりの高校で、今のところは平凡な毎日を送っています。
友達は多くもなく少なくもなく、クラスの中で多少嫌なことがあっても、愛想笑いを浮かべてやり過ごしている。
そうしていれば、集団生活の中でも目立ったりあぶれたりすることはなくて楽だから。
成績は中の上。
特に秀でた才能もなく、みんなからすればその他大勢の中のクラスメイトのひとり。
私の位置付けはその程度。
だから未だに私の名前を知らない人もいると思う。
だけど、それでいい。
目立ったり、注目されるのは好きじゃないから。
この高校の学力は普通だけど、制服が可愛くて憧れて入学してくる子が多く、私もそのうちのひとりだった。
ベージュのブレザーと、赤いタータンチェックのスカート。
薄ピンク色のリボンが上下の制服にとてもよく合っていて、とにかく可愛いの。
チビで童顔な私に似合っているのかは疑問だから、考えないようにしている。
せめて、もう少し身長があればなぁ……。
全体的に女子力高めな女子が多い中、メイクの仕方もわからなければ、洒落っ気もゼロ。
やっていることといえば、肩甲骨辺りまで伸びた色素の薄い栗色の髪を、毎朝ドライヤーでブローするくらいだ。



