着替えてリビングに行くと、ちょうどお姉ちゃんが帰ってきた。
三個上のお姉ちゃんは、この春から都内一の有名大学に通っているオシャレな女子大生。
「咲季(さき)ちゃん、おかえりなさい」
「咲花ー、ただいまー!」
天真爛漫で明るくてスラッとしていて、おまけに美人。
咲季ちゃんは私の自慢のお姉ちゃんだ。
「あれー、どうしたの?なんか元気ないね」
「え、そう?」
「さては、またお母さんになにか言われたな?」
「えへへ、バレちゃったか」
「咲花はすぐ顔に出るからね〜!なにがあったの?話してみな」
咲季ちゃんは私の変化に気づいて声をかけてくれる、優しくて頼もしいお姉ちゃん。
昔から友達も多くて成績優秀、さらにはスポーツ万能、先生からの信頼も厚く、人望もある絵に描いたような優等生だった。
テキパキしている咲季ちゃんはお母さん似で、おっとりの私はお父さん似。
完璧な咲季ちゃんには、お母さんはなにも言わない。
中学生の時から、そんな咲季ちゃんを見習えと口酸っぱく言われてきた。
だけど私は咲季ちゃんみたいにはなれなくて、お母さんの期待を裏切ってばかり。