「ねぇ、怜くんってば聞いてる?仲良くなれるチャンスなんだよ?」
瞳ちゃんが迫るたびに、怜くんの眉がピクッと反応する。
二人ってここまで仲が良かったの?
それとも瞳ちゃんが強引なだけ?
そりゃ瞳ちゃんは三沢くんと仲良くなれるチャンスなんだろうけど、怜くんにはなんのメリットもなくない?
瞳ちゃんは怜くんの顔色なんて気にもとめずに、押しが強くてビックリしてしまう。
怜くんが怒り出す前に、なんとか瞳ちゃんを止めないと!
「ほ、ほら、瞳ちゃん。あんまりしつこくしても迷惑だから……怜くんが行くわけないよ」
「行くから」
「ほらー、行かないって……えっ!?」
「いや、行くから」
立て続けに聞こえたのは瞳ちゃんの可愛らしい声ではなく、無愛想な低い声だった。
まさか。
い、今、なんて?
目を見開いて怜くんの顔を凝視する。
ムッとしているようにも見えるけど、なぜかほんのり顔が赤い。
瞳ちゃんの顔をまっすぐに見据えて、唇を一文字に結んでいる。
そんな怜くんは、今度は私に視線を向けた。
目が合った瞬間、ドキッとする。
「雪村は?」
「え……?」
「ダブルデート、嫌なの?」
怜くんは嫌じゃないの……?
行くの?
「べ、べつに、嫌じゃないけど……」
「じゃあ決定な。翠には俺から連絡しとくから」
えっ!?



