ひ、瞳ちゃん!?
なに、言ってるの?
まさに寝耳に水。
思わず怜くんと声が被っちゃったよ。
でも、だけど、まさか!
ダブルデートだなんて……っ!
ムリムリムリー!
というよりも、怜くんだって協力してくれるわけがない。
面倒なことは嫌いなはずだ。
ましてや、一緒に出かけるなんて!
「夏休みが始まる前の土曜日にでもどうかな?」
瞳ちゃんはひとりで話を進めながら、フラペチーノを口に運ぶ。
「あ、部活があるなら日にちを改めるからさ!三沢くんに都合のいい日を聞いてみてくれない?」
絶対に断られないっていう自信があるのか、決定事項のように話す瞳ちゃん。
「俺に翠を誘えって?」
「うん!」
「…………」
無言でアイスカフェオレを飲む怜くん。
氷がカランと音を立てた。
終始ビクビクしながら成り行きを見守る私。
怜くんはなにを考えているかわからない無表情を浮かべている。
こんなことに巻き込まれて、うんざりしているのかもしれない。
「ひ、瞳ちゃん、ほら、怜くんの都合も考えなきゃ……ね?」
それに私だって……。
正直、あまり乗り気じゃない。
「うーん、そうなんだけど。でも、怜くんは断らないよね?」
確信しているかのような自信に満ちた表情。
「行くよね?怜くん」
瞳ちゃんはさらにイタズラっ子のように笑った。



