「今日はデートなんだって」
「デート、ね。私も手伝うよ」
瞳ちゃんは心配そうな表情を浮かべながら笑った。
「だ、大丈夫だよっ。瞳ちゃんを巻き込むわけにはいかないもん。それに、今日は塾でしょ?気をつけてね」
ガリ勉とまではいかないけど、分厚いメガネをかけた瞳ちゃんは、守ってあげたくなるような小動物系の小柄な女の子。
制服のスカートはひざ下で、ノーメイク、背中まで伸びたおさげ髪。
見た目は地味な瞳ちゃんだけど、メガネを取るとパッチリ二重のクリッとした目があらわになる。
愛らしい瞳ちゃんの素顔を知る人は、このクラスでは多分私くらいだと思う。
中身は見た目と正反対で、サバサバしていて思ったことは口に出して言わなきゃ気がすまないタイプ。
だけどいつもニコニコしていて、とっても可愛い瞳ちゃん。
そんな私たちは三ヶ月前の高校の入学式の日に、席が前後だったことがきっかけで話すようになった。
話しているうちに好きな映画や本が同じだったり、音楽の趣味が被っていたり。
なにかと共通点が多くて、打ち解けるのに時間はかからなかった。
なにより瞳ちゃんの前では飾らない自分でいられるので、一緒にいるとすごく楽だった。