仲良くって言ったって……。
中学の時から怜くんはどこか大人びていて、クラスでも静かなタイプだった。
特定の友達(主に男子のみ)としか話さず、周りを遠ざけていたように思う。
だけど存在感は抜群で、逆に目立っていたというか。
クールで冷たいところがカッコいいという女子が多く、昔からなぜかモテるんだよね。
女子にはそっけなくて冷たいから、女嫌いだともっぱらのウワサだった。
最近まで私もそう思っていたけど、本当は好きな人がいて、その人の写真まで持ち歩いているなんて思ってもみなかったんだ。
「お昼休みの時、三沢くんとなに話してたの?」
放課後、学校を出たところで瞳ちゃんが聞いて来た。
私たちはお互い用事がない限り、駅までは同じなのでこうして一緒に帰っている。
「実は、あのね」
問題集を運ぶように担任の先生に言われたところから、三沢くんにぶつかったこと、怜くんが助けてくれたところまで順を追って説明した。
「え!?咲花ちゃんってふたりと同じ中学だったの?」
「そういえば、瞳ちゃんには言ってなかったっけ」
「初めて聞いたよ〜!」
三沢くんが好きだという瞳ちゃんのカミングアウト以来、私たちの間で二人の話題が出ることが多くなった。



