「お、怒ってるみたいだったから、ずっと気になってたの。見るつもりなんてほんとになかったんだ。ごめんね……」
顔を見られなくて、下を向きながら話した。
肝心な時に人の顔を見て話せないのは、私の悪いクセだ。
見られているってわかったら、緊張してなにも言えなくなっちゃうから。
なんて臆病な自分。
「……べつに、もうなんとも思ってねーよ」
え……?
なんとも思ってない?
返ってきた言葉は意外なものだった。
「落とした俺も悪かったし」
「で、でも……」
わざわざ写真を広げて見たのは私。
四つ折りのまま生徒手帳に挟んでおくこともできたのに。
「マジでもういいから。つーか……そのことはもう忘れろ」
「あ……うん」
怜くんは忘れたつもりだったかもしれないのに、わざわざ掘り返してしまった。
そりゃそうだよ。
もう触れられたくないよね。
ちょっと考えたらわかることなのに、考えが及ばなかった。
ごめんね。
心の中で謝りつつ、そっと視線をそらした。



