怜くんに見つめられると、なぜか胸がザワザワして落ち着かなくなる。
必死になって張ってるちっぽけなバリアを壊されそうで、とても怖い。
だから私は、怜くんが苦手なのかもしれない。
スッと顔から力が抜けていくのを感じて、下を向いた。
真っ白なスケッチブックには、なにも描かれていない。
「ごめんね……真面目に、やるから」
鉛筆を握り直して、スケッチブックに当てた。
昨日から怒らせてばかりだから、いい加減ちゃんとやらないと。
気合いを入れて顔の輪郭から描き始める。
細かい部分は本人を見ないとわからないので、目だけを動かして怜くんを捉えた。
だけどさっきから同じタイミングで目が合い、とっさに私からそらしてしまっている。
この空気、やっぱり苦手だな。
それを顔に出さないように淡々と描き写し、終わった頃にはどっと疲れていた。
だけど我ながらうまく描けたと思う。
スケッチブックの中の怜くんを見て、仕上がりに頬がゆるんだ。
自慢じゃないけど、絵を描くことだけは得意なんだ。
それにしても。
絵の中の怜くんはやっぱり無表情で、かったるそうな雰囲気を醸し出している。
もう少し口角を上げてニコッとすれば、好感度も上がるのに。



