一時間目は美術だったので、ホームルームが終わると美術室へ向かった。
夏の日差しが降り注ぐ長い渡り廊下を、瞳ちゃんと並んで歩く。
「ねぇ、咲花ちゃん」
「ん?」
「好きな人、いる?」
「え!?」
好きな、人……?
「珍しいね、瞳ちゃんがそんなこと聞くなんて」
「えへ。入学して三ヶ月経つし、そろそろ気になる人とかできたかなって」
恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべる瞳ちゃんの横顔は、女の子らしくてとても可愛かった。
「好きな、人……」
「うん。できた?」
「いきなり聞かれても……よく、わかんない、かな」
「ええ、なにそれ。曖昧だなぁ。気になる人は?」
正直、今までそういうことは考えたことがなかった。
というよりも、興味がない。
恋愛に対して、どこか冷めた気持ちが私の中にあるんだと思う。
カッコいい人がいるとドキドキするし、見惚れることもある。
だけど、人を好きになるっていう気持ちがよくわからない。
男子ってなんとなく苦手だし、なにを話せばいいのかもわからない。
こんな私が誰かを好きになる日なんて、くるのかな。



