記憶の中のきみ。

夢を見た。
白い霧がかかった空間に、私はひとりぽつんと立っている。

「ここは…どこ…?」

周りを見渡しても、霧しか見えない。
なぜか、頭がガンガンと鳴っている。
ズキズキと痛む。痛い。

「誰か…」

痛さに耐えきれず、その場にうずくまる。
なに?この痛み。
なにか、忘れちゃいけないことがあるような気がする。
忘れちゃだめなひとが、いるような気がする。
それも、思い出せない。

「痛っい」

誰?
誰なの?
あなたは…、誰?
思い出そうとすればするほど、頭の痛さが増していく。

「痛いっ痛い痛い痛い痛い痛いっ!」

誰か…
助けて…っ

ふいに、うずくまる私の肩にぽん、と手が置かれる。

「大丈夫か?」

痛みに耐えながら、私は後ろを振り向く。
その人の顔は逆光で見えない。

「あなた…、だれ…?」

「忘れちまったのかよ?」

「……………。」

「俺は、…」

急に強い風が吹いてきて、私の髪を、服を煽っていく。
いきなりのことにびっくりして、私はぎゅうっと目をつぶった。








「俺のこと、忘れんなよ」