練習試合後も差し入れの準備や片付けに追われて、
私と美月ちゃんが落ち着くまでに
かなり時間がかかった。
気付けばもう午後3時。
百合ヶ丘はもう学校の方に戻る時間だ。
恵吾「環奈ちゃん、元気でね!」
美月「たまには連絡するのよ??」
「うん!」
そんな短い挨拶の後、
2人はバスに乗り込んでいく。
久しぶりに会った2人は変わらず優しくて頼りになる先輩のままで、
別れるのが少し寂しい。
そして残された裕也君は
少し照れくさそうに頭をかくと、
裕也「環奈に会えて良かったよ。
お互い、頑張ろうな」
そう言って懐かしい笑顔を私に向けた。
私にだけ向けてくれていた笑顔。
この先、一生忘れない。
「裕也君のこと…本当に大好きだった。
お互い頑張ろうね!」
そう言うと、
目が少し熱くなったけれど
我慢して微笑むと、
裕也君は私の頭をくしゃっと撫でて
何も言わずにバスに乗り込んだ。
とほぼ同時にバスの窓が開き、
美月ちゃんと目が合う。
「環奈!言い忘れてたことがあった!」
「え?」
「瀬戸君にはちゃんと気持ち伝えるのよ!?
また環奈に後悔して欲しくないから!
約束だから!絶対ね!」
「なっ!」
言い返す隙もなく、
出発するバスを見つめると
隣に桜田先輩と白井先輩がいることに気付き、
背中に冷たい汗を感じたんだ。

