そんな懐かしいやりとりを見ていると、
自然と笑みがこぼれる。
私が何も言わずに笑顔で裕也君の隣に立つと、
「え、何?」
「写真一緒に撮って、ほしくて。
あと、サインも!私が裕也君のファン1号っていう証!」
「何だそれ…
じゃあ俺もな。恵吾、2枚撮って!」
そう覗き込んだ私に軽く笑ってそう言う裕也君。
昔と変わらない笑顔に少しドキッとしながらも、
2枚連続で写真を撮ってもらい、
写真が出てくるのを待っていると裕也君に腕を掴まれる。
目線の先にはあのお守り。
「まだ付けてたのか?」
「あっ…そ、そうなの」
そう、真剣そうに聞いた裕也君は
フッと笑って、
鞄から同じものを取り出した。
「え?」
「俺もずっと持ってた。
同じ過ちを繰り返さないように」
それだけ言って、写真に
"環奈ファン第1号!一ノ瀬裕也"
そう書くと私に手渡す。
「環奈も書いて」
「あ、はい!」
そして私も
"祐也君ファン第1号!高槻環奈"
と書いて交換すると、
微笑んだ裕也君が
私の肩にそっと手を置いて口を開いた。
「ずっと応援してるよ、ありがとな」
「こ、こちらこそ!ありがとう!」
戻って行く裕也君に慌ててそう言うと、
少しだけ振り返って笑ってくれた。
何も、考えられなかった。
ちょっと負けた気分。
裕也君の字を見て少し安心しながらも、
もう一度彼の背中を見て、
ありがとう。
私はあなたのことが本当に大好きでした。
そう心の中で言ったんだ。