あの時、もし美月ちゃんに止められていなかったら、私はあの人と同じことをしていたことになる。

そう思うと本当にゾッとする。

性格悪い私でも、それでもちゃんと生きていこうと思った。

あの時、完璧に自分を分かってくれる人なんていないんだと気付いた。

だからもう恋はしたくない。

友達ですら、こわかった。

また、あんな風に傷つくことがあるのではと思うから。

大好きで大好きだった一ノ瀬先輩は私の幻だったのだ。

その幻がいなくなるのが嫌で、現実の一ノ瀬先輩とは話せなかった。

そして、いつしか本当に身体が拒否反応を示すようになってしまった。

人を自分のフレームにおさめるのも嫌になった。

カメラに向けられる笑顔が本物ではない気がして。

それを機に、私のビジョンはなくなった。

"頑張ってる人を撮る"

それが私のビジョンだったのだと思う。


だが、人を撮りたいと

また思うようになった。

彼のおかげで、

そう、太一君のおかげでまた…





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