その日は何も手につかず、あっという間に放課後が来てしまった。
補講をしてくれる先生を呼びに行くと。その先生はバレー部の顧問の先生と一ノ瀬先輩と恵吾先輩と一緒にいた。
もう少し、待とう。
廊下に座り込み、話が終わるのを待っていると必然的に中の声が聞こえてくる。
はぁ、私って盗み聞きのプロなのかな…。
先生「一ノ瀬、お前、高槻と仲よかったよな?これから、高槻の補講なんだよ〜。本当、あいつも手が焼ける生徒だなぁ」
顧問「はははっ!間違いないねぇ。でも彼女は将来がありますから」
先生「羨ましい限りだよ、あんな才能に満ち溢れていて。お父さんのおかげでちょっと頑張れば注目されて。一ノ瀬もそう思うだろ?」
裕也「ははっ…そうですね、あんな才能欲しいですよ俺も。」
恵吾「バレー部エースが何言ってんの!?むしろ俺に才能ちょうだい?!」
お父さんのおかげで?
ちょっと頑張れば?
私が今までどれだけの時間を…
なによりもショックだったのが、
1番長く一緒にいた一ノ瀬先輩が同意したことだ。一ノ瀬先輩だけは分かってくれていると思ってた。いつも、頑張りすぎだって褒めてくれた彼はもういない。いや、最初からいなかったのか。
どうせ才能だって思われていたようだ。
ネガティブな気持ちが溢れ出して、もう涙で顔がぐちゃぐちゃになっていた。
私は頑張っていた、絶対に誰よりもって言える自信がある。それを頑張ってないみたいな言い方をされるのだけは我慢ならなかった。
私の中で何かが切れた瞬間だった。