なん、で?
一ノ瀬先輩が
私をかばってる?
「なんだね、君はいきなり。
こっちだって色々あるんだよ」
「何があるんだよ?
寝る間も惜しんでカメラの勉強したことあんのかよ?
写真のためにお前らは1日にどれくらいの時間を費やしてる?
あいつはずっと、小さい頃からずっと
努力して努力し続けてんだよ。
人の努力を才能の一言で片付けんのは、自分が同じだけ努力した後に言うんだな。」
その言葉が耳に入ってきた瞬間、
目元が熱くなるのが分かった。
ずっと、そうやって、
誰かに認めてもらいたかったから。
まさかそれが、一ノ瀬先輩だとは思ってもなかったけど、
それでも嬉しかった。
こんな少しの言葉で
今まで頑張ってきたことが全て報われた気がした。
まだ、一ノ瀬先輩とあの2人のカメラマンとの会話は続いている。
でも、もう何を言っていてもどうでも良かった。
一ノ瀬先輩は
私を見ていてくれてた。
それが、分かった気がしたから。