私が廊下の一本道に出ようとした、その時


後ろから肩を掴まれて

元の位置に戻される。

そして、私を元の位置に戻したその人が

私の前を通り過ぎていく。




「え?」




一ノ瀬、先輩?



私が最後に会った時よりも身長が伸び、

癖っ毛の黒髪は洗ったからか、少し濡れている。


こんなに近くで見たのはいつぶりだろうか?


一ノ瀬先輩と話す覚悟をしていたからか、

あの2人のカメラマンに怒っていたからかは分からないけど、

嫌なことを思い出すことは無かった。


私の前を通りすぎた先輩はそのまま、

2人のカメラマンの前まで歩いていくと、




一ノ瀬「おい、さっきから聞いてりゃ良い大人がグズグズと。

環奈がどれだけの時間を写真に費やしてるのか知らねーくせに、勝手なこと言ってんなよ」




そう言って立ち止まったんだ。