美月ちゃん、太一君、隼人の3人から
"逃げるな"
そう言われた。
分かっていた。
自分が逃げ続けていることを
いつか向き合わなければいけないことを
なぜ上手く写真が撮れないのか、
なぜビジョンが見つけられないのか、
それは、
自分を見てないからだ。
中学の時のことを、
トラウマではなく、ただの過去にしたい。
一ノ瀬先輩と話すとして、
何を、どう話せば…?
そう廊下の隅で考えていると、
「まあ、でも所詮、
娘だからって注目されてるだけだろ」
「まあ、だろうなぁ。
あの雑誌のやつもさぁ、どうせ加工してんだろ。俺らは生活かかってるってのに」
そんな男の人の声が聞こえてきた。
百合ヶ丘の、人かな?

