夜ご飯は、

花崎と百合ヶ丘で一緒に食べることになった。

マネージャーの私と美月ちゃんは

準備に追われながらも、

久しぶりに会話をかわす。




美月「なんでまた花崎に入ったの?」


「またっていうか…家から1番近くだったから。

バレー部が強いっていうのは、知らなくて。」


美月「えぇ!?そうなの!?

なんだ、偶然なんだ…」




ニコニコと話していた美月ちゃんの表情が

少し暗くなる。


それもそうだ。

"少しは過去の出来事から前向きに考えて、

また、バレーしてる人を撮る気になったから

強豪校に入学した"

そう思われるのが普通だ。


花崎のような強豪校に、

偶然入学する確率なんて低い。


本当に、私って凄い運だな……




「あ……」




いや、今まで何も考えていなかったが

こんな偶然、本当にあるのだろうか?




美月「どうしたの?」


「も、もしかしたら…

師匠とお父さんが故意に花崎の近くに引っ越したのかなぁって。

でも、そんな面倒なことしないよね、ははは」




頭に浮かんだその可能性が、

低くないとそう思ってしまう。




美月「あり得なくもない話ね。

なら、2人の期待に応えてあげるべきだよ。

私はあまり口出し出来る立場ではないけど、
やっぱりもう1度、一ノ瀬と話すべきだと私は思う。」




師匠とお父さんをよく知る美月ちゃんも、

そう思うんだ。


そして、

真剣に私にそう言ってくれた美月ちゃんの言葉を

無視することは出来ずに、

私は美月ちゃんから目をそらせなかった。