食堂にて、
みんなが使い終わった食器を洗いながら
この後のことを思わずにはいられない。
太一君は、
俺もフォローすると言ってくれたが、
結局最後は自分の問題なのだ。
前の関東大会でも、
会いたくなかったあの人を思い出して
写真を撮ることに集中できなかった試合があった。
どうしたら
過去の思い出にすることが出来るのだろう?
そんなことを考えながらも食器を洗い終えると
何やら、廊下から言い合う声が聞こえてきた。
「一ノ瀬待ってよ!環奈ともう一度話して!」
「そうだとしても、今じゃないだろ」
「今以外にいつがあるのよ?!」
「無いならそれでもいい!
俺はこれ以上環奈を傷つけたくない。
だから心の中で応援することくらいしか出来ないんだよ!
それくらい、考えろよ。
練習に戻る。
美月、余計なことすんなよ。絶対に」
顔を見なくても分かる。
美月ちゃんと一ノ瀬先輩だ。
耳を塞ごうとも思ったが、
聞いてしまった。
一ノ瀬先輩が私のことを考えていてくれたということを。